関節を鳴らすのが癖になっている方へ|鍼灸師・整体師が解説する「ポキポキ音」の正体と体への影響

関節を鳴らすのは良いこと悪い事?鍼灸師・整体師解説 整体

関節を鳴らしてしまう方、意外といらっしゃいますよね。

体にだるさや重さを感じると、首や指、腰をグッと動かして「ポキポキッ」と鳴らすのが癖になっている方も多いのではないでしょうか。

鳴らした瞬間のあの「スッキリ感」——なんとなく気持ちよくて、無意識に繰り返してしまう。そういう方が施術にお越しになられるケースは多いです。

でも、そもそもあの音の正体って何なのでしょう?

「骨がはまった音」

と思っている方もいれば、

「なんか体に悪そう…」

と思いながらも止められない、

という方もいらっしゃいます。

今回は、鍼灸師・整体師の立場から、関節のポキポキ音の正体・体への影響・上手な付き合い方まで、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

ポキポキ音の正体は何なの?

「骨がズレて、正しい位置にはまった音」——そう思っている方は少なくないと思います。

確かに、あの音を聞くと骨が動いたように感じますよね。

ただ、これは少し誤解があります。

ポキポキ音の正体については現在も研究が進んでいますが、

有力とされているのは主に以下の2つの説です。

①関節内の気泡がはじける音(キャビテーション現象)

関節の構造から説明します。

骨と骨がつながる部分(関節)は、「関節包」という袋状の組織に包まれています。

その内側には「滑液(かつえき)」と呼ばれるゼリー状の液体が満たされており、関節同士が摩擦で傷まないようにクッションの役割を果たしています。

この滑液の中には、炭酸ガス・窒素・酸素などのガスが溶け込んでいます。

関節を急に動かしたり引き離したりすると、関節内の圧力が急激に下がります(陰圧)。この圧力変化によって、滑液内に溶けていたガスが気泡となり、その気泡がはじける——これがポキポキ音の正体のひとつ、「キャビテーション現象」です。

2015年にカナダの研究チームがMRIを使ってリアルタイムで関節を撮影し、

ポキポキ音が鳴る瞬間に気泡が発生することを確認しています。

この研究以降、キャビテーション説が特に有力とされています。

ちなみに、一度鳴らしてから次に鳴るまで数分〜十数分かかるのも、この気泡が再び滑液に溶け込むのに時間がかかるためです。

②腱や靱帯が骨の上を移動するときの音

もうひとつの説が、筋肉や腱・靱帯の動きによるものです。

関節まわりの筋肉が硬くなったり、

腱の滑走性(なめらかに動く性質)が低下したりすると、

動いた際に腱や靱帯が骨の突起に引っかかることがあります。

その引っかかりが外れた瞬間に「パキッ」という音が出ることがあります。

わかりやすい例でいうと「弾発指(ばねゆび)」がこれに近いです。

指の腱鞘炎が進行すると、曲げた指が引っかかってバネのように弾ける——あの現象です。

日常的に同じ姿勢や動作が続いて筋肉・腱が硬くなっている方の場合は、

このタイプの音が混在していることもあります。

鳴らすと「スッキリする」のはなぜ?

鳴らした瞬間にスッキリする感覚は、気のせいでも錯覚でもありません。

いくつかの理由が考えられます。

関節内が陰圧になることの影響

キャビテーション説でお伝えしたように、関節内が陰圧(負圧)になることで、骨同士の接合状態が一時的に整いやすくなり、関節の動きが滑らかに感じられることがあります。

エンドルフィンの分泌

関節を鳴らす際の刺激によって、脳内で「エンドルフィン」と呼ばれる神経伝達物質が分泌されることが報告されています。

エンドルフィンは痛みを抑えたり、気持ちよさや爽快感をもたらす作用があるため、

「鳴らすとスッキリする」という感覚はこれが関係しているとも考えられています。

筋肉・腱の引っかかりが取れる

②の説のように、腱や靱帯の引っかかりが外れることで、動きの制限が一時的に解消され、楽になったと感じるケースもあります。

関節を鳴らし続けると体に影響はある?

「鳴らすのは体に悪い」とよく言われますが、これは一概には言えません。

ただし、習慣的に繰り返すことにはいくつかの注意点があります。

関節包・靱帯への負荷

キャビテーションが繰り返し起きると、気泡がはじける際の衝撃が関節包や周辺組織にわずかな負荷をかけ続けます。

1回1回のダメージは小さくても、

毎日長期間繰り返すことで関節周辺の靱帯が少しずつ弛緩(ゆるむ)していく可能性があります。

特に指の関節を毎日鳴らし続けると、長期的に関節が太くなるという報告も出ています。

「鳴らす」こと自体が目的になると危険

一番避けてほしいのが、「鳴らすこと」を目的として首や腰を強引に動かすことです。

首の関節には椎骨動脈をはじめとする重要な血管・神経が密集しています。

無理な角度で急激に首を動かすと、血管や神経を傷める危険性があります。

実際に、自己流で首をポキポキ鳴らした後に手のしびれや頭痛が出たという方がお越しになられることもあります。

「鳴らさないとスッキリしない」は要注意

 鳴らすことが習慣化すると、鳴らさないと落ち着かない・鳴らす頻度がどんどん増えるという状態になる方がいます。

これは「鳴らすことで根本は解決せず、その場しのぎを繰り返している」サインでもあります。

もし「毎日何度も鳴らさないと気が済まない」という状態であれば、

関節や筋肉そのものに何らかのアプローチが必要なケースが多いです。

整体でポキポキ鳴らすのは良いの?

整体を受けてポキポキっと音が鳴ると「矯正できた!」という感じがして、満足感が出ますよね。それはよくわかります。

ただ、「ポキポキ音が鳴った=矯正が成功した」とは必ずしも言えません。

音が鳴るかどうかは、そのときの関節内の気泡の状態・体の力の抜け具合・動かす角度によって変わるものです。音が鳴らなくても関節が正しい位置関係に整っていることもありますし、逆に音が鳴っても体のバランスがきちんと改善されていないこともあります。

ポキポキ鳴らすことを目的とした整体について

「バキバキ系」「矯正系」と呼ばれる整体の中には、

音を鳴らすことを施術の目的・アピールポイントにしているところもあります。

整体師の資格は国家資格ではなく、民間資格で取得できるものです。

そのため施術者の技術レベルには大きな差があります。

音を鳴らすためには瞬発的な力が入る操作が必要なため、

体の状態を十分に把握しないまま行うと筋肉・靱帯・関節を傷めるリスクがあります。

特に首へのポキポキ整体(頸椎マニピュレーション)は、

血管・神経への影響が出るリスクもゼロではないため、提供する側にも受ける側にも一定の注意が必要です。

ポキポキ鳴らさない整体について

一方で、「音を鳴らすこと」を目的とせず、筋肉を緩めながら関節の動きを少しずつ引き出していく整体もあります。

無理な角度で急激に捻ることをせず、体のバランスや筋緊張を確認しながら丁寧に整えていくため、関節や筋肉を傷めにくいのが特徴です。

その過程で自然にポキポキ音が出ることはありますが、

音を出すこと自体は目的ではありません。

「音が出た=矯正できた」ではなく、「体のバランスが整ったかどうか」を基準にしている整体です。

当店の整体について

当店の整体は、カウンセリング時に症状・姿勢バランス・筋肉や骨格の状態を丁寧に確認し、一人ひとりの体に合わせた安全な角度で矯正を行います。

ポキポキ音が鳴ることもありますが、音を出すことを目的とはしておらず、

無理な力・無理な角度は使いません。

鍼灸師・整体師として、体の状態を把握したうえで整えることを大切にしています。

「整体が初めてで怖い」「首や腰のポキポキが心配」という方も、まずお気軽にご相談ください。

体のバランスを丁寧に確認しながら矯正を行う整体

日ごろからできるセルフケア

関節がポキポキ鳴りやすい・鳴らしたくなるという方は、そもそも筋肉や関節まわりの柔軟性が低下していたり、特定の部位に負担が集中していることが多いです。

施術と並行して、日常生活の中でできるケアをいくつかご紹介します。

  • 同じ姿勢を長く続けない デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢が続くと、筋肉は硬くなりやすくなります。30〜60分に一度は体を動かすことを意識しましょう。
  • 首・肩・股関節のストレッチ習慣 特に鳴らしたくなる部位のまわりの筋肉をほぐすことで、「鳴らしたい衝動」が和らぐことがあります。ただし、反動をつけた急激なストレッチは逆効果になることがあるため、ゆっくり呼吸しながら行ってください。
  • 水分補給を意識する 滑液の主成分は水分です。体が脱水傾向にあると関節の潤滑が低下しやすくなります。こまめな水分補給は関節ケアの観点からも有効です。
  • 「鳴らしたくなる前に動く」意識を持つ 鳴らしたいという感覚が出てきたとき、それを「体がSOSを出しているサイン」と捉えて、ストレッチや姿勢の見直しに切り替えてみてください。癖を断ち切るには、鳴らす行動を別の行動に置き換えることが有効です。
  • 定期的な施術でのメンテナンス 筋肉の硬さや関節の動きの悪さが日常的に蓄積している方は、セルフケアだけで解消するには限界があります。鍼灸や整体を定期的に活用して、筋肉・関節のコンディションを整えることをおすすめします。

関節のポキポキ音は、習慣的に繰り返すことや、音を出すことを目的として無理に鳴らすことには注意が必要です。

「なんかいつも鳴らしたくなる」「鳴らさないとスッキリしない」という状態が続いているようなら、それは体から何かを伝えようとしているサインかもしれません。気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

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